かつて彼らは、別のゲームで暮らしていた。 操作をより直感的に行う為に精神接続を利用する、アクションレイドゲーム。 そのゲームで、想定外で、ヘンテコで、変態な勝ち方を探る、 変人の廃人の小さな集団があった。
しかしあるとき、そのゲームのサーバーが急に落ち、繋がらなくなった。 何時もの落ち方とは違う、接続者達の精神を護らない、強制的で攻撃的なシャットダウン。 その後、そのゲームのサーバーに繋がる事は二度となかった。
……あの日の強制シャットダウンが恐怖でありながら。 あの日の切断に疵痕を残しながら。 それでも、彼らはもうネットゲームなしに生きられない。
其処に今日も彼らは、発見を探し続ける。
弟切/
夕月弟切は、弟切草のフラウ。 『秘密』を花言葉に持つ、薬草を自らのシンボルとした理由は、かつて昔も自分の名前として使っていたのもあるが、その花が小さく慎ましやかであるのを好んでのことであるという。 利き腕がそもそも左腕だが、その左腕に痛々しい包帯をきつくまいている。力無くぶら下がっているその腕を庇いながらでは、例えその悲観癖がなくても激しい戦闘はかなわないだろう。
そういう弟切自身、現実では左腕は切除している。 切断事故の際、神経がきれたかのように動かなくなってしまった左腕は、あちらこちらにぶつけてしまい、余りに危険で辛かったからだ。 自身が利き腕を失ったのは利き腕を使って戦っている最中だったからではないかと考えた彼は、フィルトウィズでも極力激しい戦闘に関わらないことを望んでいる。
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